アプリ配信|Apple Store|Google Play|個人事業主の組織アカウント取得までの道のり

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アプリ配信のためのアカウントには、Google Play(for Android)、Apple Store(for iPhone)ともに個人用アカウントと組織用アカウントがあります。

個人用アカウントは身分証明ができる名前(つまり本名)で登録する必要があります。加えてGoogle Playでは個人開発者には20人のテスターによるアプリプレイがリリース前に課されます。ということで、どう考えても組織アカウント登録がしたい。

更に、アカウントの種類に関わらず、Google Playと一部地域(EU)のApple Store では住所や電話番号が公開されてしまうため、本名公開やテスタープレイに問題がなくとも、自宅住所やプライベート番号ではない住所・電話番号の入手は必要です。

本記事は組織アカウント申請までの手順について書いています。先人たちを参考に挑みましたが、いくつか手戻ることがあったので備忘です。個人アカウント取得の場合は、住所と電話番号の項目だけ参考にしていただければと思います。(自宅住所とプライベート番号が公開されても問題ない方は、何も参考にならないです!いないと思うけど!)

組織アカウント取得までの道のり

両OSストアで組織アカウントを取得するために、まずは以下を揃える必要があります。

アカウント作成前にまずはこれを用意!(所要期間:最短で2週間くらい)

  1. バーチャルオフィスで公開用住所を取得
  2. 格安SIMで公開用電話番号を取得
  3. 屋号を決める
  4. 屋号に関連するドメインを取得しWebサイトを作成・公開
  5. 開業届を提出
  6. DUNSナンバーを申請し取得

これらが揃ったら、ようやく組織アカウントを申請できます。

順序としては、1〜4 は並行して進められます(※)。1〜3 が揃えば 5 → 6 の順で進められます。もっとも時間がかかるのは 6 だと思います(時期によるそうですが最大で数週間)
※ドメイン取得時にWhois代理公開が使えない場合は、ドメイン取得前に屋号と公開可能な住所・電話番号・メールアドレスを用意

失敗したポイント

まず、手戻りを起こして二度手間祭りに繋がってしまった失敗ポイントを書いておきます。

失敗① 開業届に記載が必要な事項が漏れていた

個人開発者が開業届でおさえておくべきポイント

一般的な必要事項に加えて、DUNSナンバー取得、およびGoogle Playに組織名の支払いプロファイルを作成する際に、組織の証明書類として開業届の控えを使用することから、以下に注意が必要です。

  1. 公開用住所と公開用電話番号を事業所として記載しておく必要がある(申請内容と一致させるため)
  2. 屋号に英文名を併記しておく必要がある(Googleの審査は英文組織名で行われるため)
  3. 届出の受領証明を取得する必要がある

これは、証明書類として開業届を添付した申請がリジェクトされたため色々調べて推測したものなので、ひょっとしたら全て満たしていなくてもDUNSナンバーやストアアカウント登録が可能かもしれません。が、初回提出前の方はどうせなら網羅しておく方が良いと思います。

私はこれらの落とし穴に順番に気づいたので、

  • 最初は自宅住所と日本語屋号のみで提出
  • 1の対応のために ”事業所の新設” として事業所住所と事業用の電話番号を追記して再提出
  • その後2の対応のために、屋号欄に英文名を括弧書きで併記し備考欄に「英文屋号の追記」と記載し再提出

初回は不安だったのでその場で確認してもらおうと税務署の窓口へ提出したものの、再提出はオンラインで実施したいと思ったのですが、以下の理由でオンラインは断念。

  • Windowsであればオンライン提出できますが、作成ソフトがmac対応していない(行政サービスってmac対応してないこと多いよね)
  • macでオンライン提出したい場合は、freeeなどの作成サービスを利用する方法がありますが、ノーマルな初回提出以外に対応していない(備考欄への入力ができない、提出済の青色申告申請書を再度提出しなくてはいけなくなる)

税務署の営業時間内に現地へ行く以外の方法は、郵送や税務署前のポストに投函し提出する方法がありますが、受領証明を貰う必要があるので、返信用封筒の用意などが面倒で、結局提出のたびに窓口へ。幸い居住地の管轄税務署は徒歩圏内にあるのですが、平日の標準勤務時間内しか空いてないのですよね。総額で考えると一番税金払ってるのは土日休みのサラリーマンなのに、なんで公共サービス受けられないのよ

ちなみに、再提出時に窓口で確認しましたが、屋号や住所の変更があった場合でも青色申告申請には開業届の内容が引き継がれるので、青色申告申請書は再提出しなくて良いらしいですよ。

失敗② ドメインと屋号が一致しない

ドメインと屋号を決めるときのポイント

Google Play/Apple Developer Programのアカウント作成時に、「企業に関連付けられたドメイン名のWebサイト」と、「組織のWebサイトのドメインと一致するメールアドレス」が必要です。

  1. ドメイン取得していない方は、先に屋号を検討しておいて、一致するドメインを取得
  2. 屋号検討中の方は、お持ちのドメインと整合する屋号に
  3. 両方取得済みで不一致の場合は、屋号かドメインを変更

私は最初からそこまで考えが及ばず、初回に開業届を提出した際の屋号と、ブログ用に取得していたドメインが不一致に(今もあんまり一致してないけど🙃)。屋号を変えるかドメインを再取得するかで悩んだ結果、屋号を変更し開業届を再提出し、DUNSナンバーも屋号変更を行いました。開業届を何回再提出してるんだか•••。

ただ、”企業に関連づけられた” の程度は申請してみないとわかりません。ChatGPTに過去事例を収集してもらいましたが、いくつか ”完全一致” ではない企業の例もあるようです。私も、「Hami Applications」という屋号と「hamxxxxi.com」というドメイン名でGoogleもAppleも審査を通過してますので、ご参考に。

ここからは、ひとつひとつの手順を簡単に解説していきます。

何はともあれ、まずは公開用の住所と電話番号が必要

用途はこんな感じ。自宅住所やプライベートの番号を晒したい人はいないと思うので、みなさん必須でしょう。

開業届一般人に参照されることはないが、ストア登録の際の証明書類として利用するため、公開用の住所・電話番号で届ける必要がある
DUNSナンバー申請公開はされないが、DUNS情報照会を申請した人には参照される
Google Play アカウント収益化を有効にしている場合、住所が公開される
Apple Developer Program アカウントEUでは住所と電話番号が公開される

住所

住所はバーチャルオフィスで取得します。多くの会社が複数のプランを用意しており、選ぶ際のポイントはこちらにまとめています。

⬛︎⬛︎⬛︎作成中⬛︎⬛︎⬛︎

私は、こちらの郵便物対応なしの一番安いプランで契約。他に大手やサポートのあるものも検討しましたが、まずはスモールスタートで安くを重視しました🙃。住所はできれば一等地(渋谷・青山・品川など)にしたかったので、渋谷アドレスも決め手になりました。
格安料金のバーチャルオフィス スタートアップ

電話番号

電話番号は、みなさんお薦めされてますがpovoで契約。
基本料0円、半年に一度トッピング購入(330円最安)コースです。※180日間以上トッピングの購入がない場合、利用停止、契約解除となることがあるため。
プライベートの番号の契約に回線を追加する場合と比較しましたが、やはりpovoが一番安い。

この番号は、ストア登録の際にSMS認証が走るので、実際に使える状態にしておく必要があります。古いスマホに設定するのも良いですが、出先の作業中に認証できないのは不便」 「2台持ち歩くのも邪魔だし充電も面倒!」と思うのであれば、DualSIM対応(※)の機種を購入しプライベートの番号と事業用の番号を両方使えるようにしておくのが良いのではないでしょうか。
私はちょうど機種変も検討していたためDualSIM対応のAndroidを購入しました。物理SIM×eSIMのDualSIM仕様のため、povoはeSIMで番号発行。通話もSMSも2番号で問題なく実施できています。

※DualSIMとは、1つのスマートフォンに2つの番号を設定する機能です。スマートフォンがDualSIM対応の機種でないと設定できません。当然回線契約も2つ必要です。

屋号を検討しドメインを取得・Webサイトを作成

屋号を決めましょう

屋号は、個人事業主にとっての ”社名” のようなもの。たった一人であっても、自分自身の活動を表す名前になりますので、世の中の屋号や社名を眺めながら検討してみてください!

注意点としては、個人事業主の場合、屋号に法人格を表す名前はつけられません(〜〜会社 とかはNG)。

また、念のために既存の商標やDUNS登録組織名と重複しないか調べておく方が良いと思います。Google検索で、他のサービスや事業者がヒットしないかも調べておきましょう。

商標はこちらで検索
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/

DUNS検索はこちら
https://duns-number-jp.tsr-net.co.jp/search/jpn/find_jpn.asp

屋号と関連するドメインと、Webサイト構築のためのサーバーが必要

用意しなくてはいけないのは、組織のWebサイトと、組織を表すメールアドレスです。具体的な条件は以下。

Google Play

  • Webサイトは、ドメインの所有権をGoogle Search Consoleへ登録し、所有確認により証明するため、ドメインが関係なくてもOK。
  • ただ、以下を満たすメールアドレスが必要なため、結局のところ屋号に関連しているドメインが必要。

Google アカウントに関連付けられているメールアドレスとは異なる必要があります
組織のウェブサイトのドメインと一致している必要があります
組織を表すメールアドレスである必要があります

ちなみに、開発者の連絡先として、Google Playでの公開用メールアドレスも用意する必要があります。フリードメインアドレス(gmail.comなど)でも問題はありませんが、独自ドメインアドレスの方が信頼性は高いと思います!

Apple Developer Program

  • サポートからの、組織アカウントへの移行時のメール。2 より、”関連付けられた” ドメインが必要ですが、先に述べた通り、どこまで一致していれば審査が通るのかは不明。

1. 移行の処理中は「Certificates, Identifiers & Profiles」(証明書、ID、プロファイル) ポータルをご利用いただけません。App Store Connect を含むその他すべてのデベロッパ向けリソースは引き続きご利用いただけます。
2. 有効な Web サイトが必要です。Web サイトが公開され、ドメイン名が企業に関連付けられている必要があります。
3. 移行が完了すると、販売元は「Hami Applications」として App Store で配布するすべての App に適用されます。
4. 移行が完了すると、個人メンバーシップの「売上とトレンド」のレポートはご利用いただけなくなります。
5. 有償の App や App 内課金のある App を配布する場合、移行の完了前に得られた収益は、移行の開始時点で有効な銀行口座に振り込まれます。これらの収益の振込先を変更するには、移行の開始前に銀行口座を変更する必要があります。

ドメインとサーバーを用意

ドメイン取得とサーバー契約についてはこちらでまとめています。

⬛︎⬛︎⬛︎作成中⬛︎⬛︎⬛︎

Webサイトを構築

サーバーを契約したらWebサイトを作りましょう。

私は本サイトを構築中だったので、そこそこまともなWebサイトの状態で申請しましたが、簡単なサイトで申請して通っている人もいるようですので、サイト自体のクオリティを見ているわけではなさそうです。屋号名をきちんとWebサイトのタイトルやプロフィールに記載しておけば大丈夫ではないでしょうか。

他に使う用途がないのであれば、WordPressでテンプレートを利用してサクッと作ってしまえば良いでしょう。またこれを機にブログを始めてみても良いかもしれません。

ちなみに、本サイトはWordPressの無料テンプレートのcocoonを使用しています。CSSでカスタマイズしている箇所もいくつかありますが、無料のテンプレートでもそれなりのサイトが作成できますのでぜひご参考に☺️

開業届を提出

開業届は、正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」という書類です。

フォーマットはこちらの国税庁のWebサイトからダウンロードできます。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm(Webサイト)
個人事業の開業・廃業等届出書(PDF/286KB)(ファイルへの直リンク)

案の定、ファイルはmacに対応していないようで、PDFをPCローカルにダウンロードして書き込むと、文字の表示がところどころ切れてしまいます。私はPCで作成し印刷し、欠けた部分を手書きで書き足して提出しました💁‍♀️。もちろん全て手書きでも作成可能です。

開業届の書き方はこちらを参照しました。
https://www.yayoi-kk.co.jp/kigyo/oyakudachi/kaigyotodoke-kakikata/

個人開発者の場合は、例として以下のような記載が良いと思います(私の失敗談も参照してください)。

  • 「上記以外の住所地・事業所等」:公開用住所と公開用電話番号を記載
  • 「職業」:例)インターネットサービス業
  • 屋号」:日本語屋号の場合、「 ”日本語屋号”(英文表記:”英文屋号”)」で記載
  • 所得の種類」:事業所得
  • 事業の概要」:例)スマートフォンアプリやWebサービスなどのインターネットサービスの開発・提供や保守運用
  • 届出の受領証明を取得

また、開業届の提出ついでに、青色申告申請をすることができます。申請しても青色申告をしなくてはいけなくなるわけではないので、ついでに出しておくのが良いと思います!

DUNSナンバーを申請し取得

新規登録

D-U-N-S Number の取得は、Apple Developer経由で取得することもできますが、私は東京商工リサーチで取得しました。Apple Developerは無料ですが英語で対応する必要があり、また個人事業主の場合に取得できるのかは不明です。ポリシーを読む限り、個人事業主への付与が難しいように見えたので、手数料として3,300円かかりますが私は東京商工リサーチを選択しました。

こちらから必要事項を入力し申請します。
https://duns-number-jp.tsr-net.co.jp/search/jpn/duns_regist_explain.asp

申請時に入力したメールアドレスに、新規登録料の振り込みと証明書類に関する自動返信案内が来ます。振り込みを行い、指定されたメールアドレスに開業届の控えを添付して返信します。

証明書類の受領連絡から8日後に、D-U-N-S番号が記載された登録完了のメールが届きました。

ちなみに、確認のために自社情報照会をしようとしたところ、「返信先メールアドレスドメインと照会先企業との関係性が確認出来ませんでした」とのことで確認メールが来てしまいました。(ここで面倒になり照会作業を進めなかったため、この先は分かりません💁‍♀️)

参考)照会しようとしたら来たメール。対応はそこそこ面倒そう。

この度は弊社サービスをご利用いただきましてありがとうございます。
掲題の件、お申し込みの際にご入力いただいた申請者情報より、ご照会ナンバーの対象企業にご在籍されていることの確認がとれなかったため、ご連絡差し上げております。(返信先メールアドレスドメインと照会先企業との関係性が確認出来ませんでした)

恐れ入りますが、本申請(対象企業)が下記の内どれに該当するのかをご確認頂き、(1)か(2)に該当する場合は当メールにご返信する形でご回答くださいますよう、お願い申し上げます。
また(3)の関係にて該当する場合には、お手数ながら再度「他社のD-U-N-S® Number照会」としてお申し込みくださいますよう、宜しくお願い致します。

(1). 対象企業にご在籍の方からのご申請の場合
照会先対象企業名とご申請者名の明記されたエビデンス(名刺、保険証、公的許可証、プレスリリース、等)、ご申請者が代表/取締役の場合に限り対象企業の登記簿コピーを添付(4MBまで)いただいた上、当メールにご返信ください。商号変更している場合、その旨も併せてご教示ください。

(2). 対象企業が申請者のグループ会社の場合
貴社と対象企業の関係性(グループ定義等)を確認することが出来るエビデンスをご添付ください。(例:当該企業HPリンク、プレスリリースリンク、その他公示可能な社内資料(グループ会社一覧、株主名簿、組織図、等))また、上記エビデンスをお持ちでない場合、グループ会社である対象企業に所属される方からあらためてご申請いただきますよう、宜しくお願い申し上げます。

(3). 他社のD-U-N-S® Number照会の場合
以下のURLにてご利用方法をご確認の上、お手数ですが再度「他社のD-U-N-S®Number照会」としてお申し込みくださいますよう、宜しくお願い致します。
https://www.tsr-net.co.jp/service/detail/get-a-duns-number.html#othercompany

なお、本サービスではあいにく代理申請を承っておらず、申請者情報にはご申請頂く方がご在籍の企業名、ご連絡先等をご入力くださいますよう併せてお願い申し上げます。

おまけ:屋号変更

屋号や住所などの変更はこちらから
https://duns-number-jp.tsr-net.co.jp/search/jpn/duns_change.asp
「自社DUNS情報修正」タブからDUNS番号を入力し修正内容を入力して申請します。

修正の際も証明書類の提示を求められますので、再提出時の開業届の控えを添付しました。こちらは連休を挟むタイミングだったのですが、受領連絡から数営業日後に完了連絡が来ました。

ちなみに完了連絡の前日にGoogle Playアカウントの登録でDUNSナンバーを参照すると新しい屋号に置き換わっていたので、完了連絡よりも少し前に処理が終わっていることもありそうです。タイムアタック状態であればご参考までに。

以上!

長くなってしまったので、ストア登録手順については別の記事でまとめていきたいと思います。

参考にした先人たちの記事はこちら。面識ないですが感謝です。

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